2013年7月17日水曜日

次世代「胚スクリーニング」を行った世界初のベビちゃんがついに誕生

これからの不妊治療、いや、体外受精と同時に何年後かには一般化されるであろう
胚スクリーニング(着床前診断)の記事があったので少しそのお話を。
未来の日常をつくるイノベーションを感じさせます。


世界ではじめて体外受精が成功してから35年が立ちます。
人類史上初の試験管BABYとして一躍有名になった「ルイーズ•ブラウン」さんは、
2006年に第一児を出産して幸せに暮らしているそうです。当時は「神の領域を犯すな」
「生命倫理の崩壊させるな」と言って騒がれた時代でしたが、35年も経つと
そのIVF-体外受精の技術は多くの人類の誕生を支え、一般社会化されていることに
感慨深いものを感じます。


Next-generation sequencing could enable IVF clinics to determine the chances of children developing diseases.The first IVF baby to be screened using a procedure that can read every letter of the human genome has been born in the US.
さて、Theguardian記事の内容を、つたない英語で訳しますと、、(笑)
(非常にアバウトなのであしからず)

世界で初めて次世代シーケーシング(NGS)と呼ばれる遺伝子解析法を用いて
遺伝子異常のスクリーニングをした受精胚からBABYちゃんが誕生したそうです!
つまり、移植する前に異常がないかと調べて、ないものだけ着床させるという
「胚の選択」が革新的な方法を使うことで、より速くそして安価に、できるように
なるかもしれないとのことです。

流産の半分は染色体異常によるもので、「胚」の染色体異常の%は女性の年齢の上昇
及び男性が潜在的にもっているものが大きく影響を与えます。女性が20代であれば
10個に1個が染色体異常ですが、40代になると75%以上とふくれあがります。

ほとんどの場合、染色体異常の胚は子宮に着床することができず、流産していまい
もし、着床できたとしてもダウン症候群やターナー症候群などの遺伝性疾患を
持って生まれています。

今回このBABYちゃんのご両親は体外受精胚を13個ストックしていて、
その全て(受精5日目、胚盤胞のこと?かな)を次世代遺伝子スクリーニングを
してみると、健康にみえた「胚」が実は3つしか正常な染色体を持っていなかった
そうです。その3つの健康な「胚」から1つ選び(残りは凍結のまま)、
見事移植に成功して9ヶ月後にBabyちゃんが産まれました。

カップルはインタビューで次のように語り「自分たちの保険はIVFを3サイクルまで
カバーしているけれど、もし、この次世代遺伝子スクリーニングができなかったら
3サイクルなんてすぐ終わって、Babyちゃんには出会えなかっただろう」と。

来月、アメリカで2人目の同じ遺伝子スクリーン法を行ったBabyちゃんが誕生する
予定です。

イギリスではCGH解析と呼ばれる技術を使用して、異常染色体の胚を選別することが
できますが、2,000ポンド以上(30万円)通常のIVF治療にがプラスされてしまいます。
しかし、このNGS(次世代シーケンシング)解析を使えば、2/3のコストで
できるそうです。(正確なDNA解析よりもはるかに簡易的)

この「妊娠率を高め、流産率を下げる」次世代シーケーシング(NGS)は、
5年後には最先端技術として体外受精とともに一般化されるだろうと、
ある医師は言っています。

正常な染色体をもつ胚を選ぶことができるようになると、当たり前ですが
健康なBabyちゃんを産む可能性を高めますし、もしかしたら癌や心臓病、
アルツハイマーなどの病気になるかどうかまで遺伝子スクリーニングで
判断できるようになるかもしれません。

イギリスでは、特別な医療上の理由以外で胚を選択するから禁止されていますが
科学者たちの病気にまつわる遺伝的原因について研究が進む程、がんや他の病気を
避けるために、「胚」の選択がヒートアップしていくと考えられます。

"デザイナーBABY"は今のことろ、非現実的ですが、体外受精をして赤ちゃんが
できなかったという数は減らせると思われます。オックスフォードのチームは、
大規模試験を計画しており、次世代シーケンシング解析を使ってどの程度妊娠率を
向上させられるか、どの年齢層のそれが最も適しているかを、研究していくようです。

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体外受精を行う上で妊娠の確立をあげる一番の方法は、胚を複数個準備し、
その中から妊娠につながる「胚を選択」し「その胚を移植する」ことです。

この技術は、着床前遺伝子診断として1990年に成功して以来、世界で
1万人以上のBABYちゃんがこの診断を受け誕生しています。

着床前遺伝子診断を受けることで流産を予防したり、体外受精の妊娠率を
上昇させたりすることができるのですが、無制限に利用が進むと、倫理的に問題が
あるとして、日本では制約があります。(皆さんご存知の、タイに行って産み分けを
するカップルはこの技術を使っています)

今後、体外受精で誕生する子供の数が増えれば増える程、こういった
胚スクリーニング技術も進歩し、安価に提供され、10年後には「あの頃の
体外受精はなんて非効率的だったのか?」などと言われるようになるのでしょうか。

こちらの記事でも書きましたが↓↓

アンジーの乳腺切除について思うこと

科学技術が社会と倫理をかえていくのは避けられないことだと思っています。
その中で、知恵をつけて生きていかなければならないのだろうと。

漢方薬が、不妊治療の現場だけでなく科学技術の進歩に伴ってできることって
たくさんある気がします。変化はすぐそこにきているのでしょうね。

mitsueより

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